原著作者「怖い話投稿:ホラーテラー」「三十路の名無しさん」 2008/01/11 13:18

幼なじみ(女性)から遊びの誘いの電話がかかってきました。
彼女の結婚を境に疎遠になっていたのですが、他の友達とも疎遠になってしまったらしく、
『地元には友達と呼べる人がいなくて寂しい』と嘆いていました。
専業主婦で家にこもりきりのため、人との出会いが無いのが寂しさに拍車をかけていたようです。

久しぶりに会い、彼女の運転でドライブに出かけました。
昔からそうなんですが、車中では私が愚痴をこぼすばかりで、彼女は微笑んで聞き役に徹していました。
ただ気になったのは、今日会ってから一言も旦那さんのことを口にしていないことでした。
周りに友達がいない彼女にとって、旦那さんは唯一の心のより所だったはずで、
旦那さんと何かがあったから、こうして急に誘ってきたのかな?と思いました。

方々を遊びまわって夜も更けたころ、私が「今日はお疲れ!」とねぎらって、そろそろ帰ろうという雰囲気を出すと、
彼女は『わかった』という顔をして車の方向を変えました。
しかし、私の家(実家)とは逆の方向へ走り出しました。
まだ遊び足りないのかな?と思い、しかたない、付き合ってやるかと諦めました。

車はあるトンネルの信号の前で止まりました。
トンネル内部はやたらと明るく照らされて、パトランプも回っており、奇妙な感じがしました。
「事件でもあったのかな?」と私が言うと、
彼女は「最近このへんで通り魔があったの」と、何でもないことのように言いました。
私が驚いて、
「そういえばそんなのあったね!若い女の子ばっかり。
 犯人まだ捕まってないんじゃなかったっけ?あんたも夜道は気をつけなよ!」
と言うと、彼女は言いました。
「もう捕まったよ」
地元で起こった事件だったので、ニュースを追いかけていたものの、
事件が解決済みであったことを私は忘れかけていました。
確かまだ容疑者は犯行を否認していて、だからいまだに現場付近は警戒中なんだ、と思いました。
自分の記憶力のいい加減さに呆れて、「なんだよかった。一応解決したん…」と言いかけて、
ふと彼女の今の苗字が頭に浮かび、ハッとしました。
「犯人、あたしの旦那だったの」
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